ところでO君は、銀行時代の同期とはいえ、僕より先に銀行を辞めデイトレーダー的なことをやっている男。ちょっと普通の人とは違う立ち位置なのだ。そこで大学の先輩で、経営職階の立場ながらも大学院で学んだY兄貴に相談することにした。彼から開口一番言われたことは・・・

Y兄貴に、執行役員という立場で学ぶことの苦労について話を聞いた。彼曰く「大変さより楽しさが勝る!」とのこと。そして何より「仕事の広がりが半端ない!」と。最後に一言、「先輩として命令。必ず受験して合格せよ!修了したらお祝いしよう!」。もう逃れられない。

そろそろ出願をしなければならない時期がやってきた。WBSには様々なコースがあるが、僕は夜間主プロフェッショナルのファイナンス専修を選んだ。不動産価格予測モデルの研究をしたいならこのコースに入り、川口有一郎先生の指導のもと修士論文を書く必要がある。

願書の中には「研究計画書」なるものがある。単に不動産価格予測モデルを研究したいとだけ書くわけにはいかない。目立ったほうがよかろうと、現在のモデルの課題、解決手法、統計学的な処理方法などについて、「ええ恰好しい」で書いてしまった。これが後になって仇になる。

10月。一次試験。広々した教室内は、どう考えても僕が長老だなと思わざるを得ないほど、若い方が多かった。出題内容は、キリンの長い首のミステリーという文章を読んで、その論理展開を図解し、論理が飛躍している点を埋めるための想定を複数挙げよ、という課題だった。