大学院に行くとしても何を学ぶか? それがはっきりしていなければ意味がない。当時僕は、エクセルを使って不動産価格を推定するという作業を行っていた。いわゆる重回帰分析というやつだ。ウェブで検索し見様見真似でやっていたわけだが、多くの成約データを使って分析すれば、お客様を騙すような恣意的な査定結果にならないと考えていた。これを学術的に学ぶというのは面白そうだ。

その年のGWを過ぎたころ、講義内容が気になって例のO君に会うことにした。彼が取り出したのは不動産金融工学という授業の資料だった。何やら呪文のような算式が散りばめられており、一見したところ理解不能。こんなハイレベルなこと、簡単に理解できるのだろうか?理解できるか否かは入学してからの話だとして、まずは何をやりたいかを決めたかった。MBAには興味はなかったけれど、不動産価格予測モデルの研究をやりたいという気持ちは日に日に強くなっていた。精度の高い予測モデルが作れれば、お客様にも喜んでもらえるしビジネスチャンスにもなるはずだ。不動産金融工学の授業レジュメには、ヘドニックアプローチ、不動産価格指数の作り方、確率微分方程式による不動産価格など、詳しい中身は全くわからないが、どうも自分の求めているものに極めて近いもののようだ。受験についてちゃんと考えようという気になってきた。

一方、受験はよいが、もし合格してしまったとして、仕事と両立できるのか?その点が心配でO君に聞いてみる。O君曰く、WBSは、夜間と土曜日でカリキュラムが組まれており、社会人学生は皆、なんとかやりくりしていると。2年で24科目と論文をパスすれば修了できるらしい。月1科目ならなんとかなるかも。。。